探訪日:2023年(令和5年)10月14日(土曜日)
探訪番号:45
投稿日:2023年10月30日
ブログ分類:気になる乗り物に乗るシリーズ #2
東京・上野動物園の園内には、日本初のモノレール路線である、上野動物園モノレールが走っていました。
このモノレールは正式名称を「上野懸垂線」と言います。動物園内の東園駅から西園駅までのわずか300メートルの距離を1分半の所要時間で走りました。
動物園内のわずかな距離を走るモノレールだけに、動物園のアトラクションとして捉えられることもありましたが、実は途中で動物園を抜け出して公道(台東区道・動物園通り)をまたぐため、鉄道事業法に基づく一般鉄道として設置されました。
モノレールというと、浜松町と羽田空港を結ぶ東京モノレールのようにレールをまたぐ形が思い出されますが、上野動物園モノレールはレールにぶら下がる懸垂式と呼ばれる形式です。
これは、ドイツで120年以上前に開業した世界最古のモノレールであるヴッパタール空中鉄道のランゲン式を参考に、さらに改良した独自の形式として開発されたものです。
レールにぶら下がる形式のため車窓の眺めがよく、動物園来場者にも人気でしたが、独自の形式であることが仇となり、車両の更新やメンテナンスが高額になるため、老朽化を理由に2019年10月31日をもって運行休止となりました。
運行休止ということは、いつかは復活することがあるのかも、と鉄道ファンも期待していましたが、運営する東京都交通局は今年7月21日、国土交通省に「鉄道事業廃止届」を提出、来年7月21日までに廃止されることが正式に決定しました。
実は私は、運行最終日となった2019年10月31日に乗ってきていました。以下はその時の写真です。
【写真】モノレールの最後の勇姿を見ようと、東園駅にはたくさんのお客さんがいらっしゃいました。
【写真】駅の柱には、運行休止を知らせるポスターが貼ってありました。
【写真】券売機です。
【写真】駅の入り口から乗り場ホームまでは線路を横切る形になります。いわば”踏切”といったところですが、法律上は踏切扱いとはならないようです。
【写真】車両が入ってきました!
【写真】”踏切”を渡りながら、正面のアップをパチリ!
【写真】ホームにもたくさんのお客さん!
【写真】車内の写真を撮るモノレールファンの皆さんもたくさんいらっしゃいました。
【写真】お客さんが降りたところでパチリ!一般鉄道とはいえ、カラフルな椅子が、外が見えやすい配置となっており、完全に動物園のアトラクションといった様相です。
【写真】運転席もパチリ!
【写真】西園駅の様子です。
【写真】西園駅を発車した車両です。
【写真】真下からもパチリ!
【写真】車体には楽しげな動物のイラストと、「ありがとう40形」のステッカーも。
【写真】駅の出口のところの「またのってね!」も今となっては虚しい響きです。
ここ4回のブログでは、上野公園内のいろいろなスポットに行ったことを記事にしていますが、同じ日に上野動物園にも入園して、現在のモノレール線がどうなっているのかも確認してきました。ここからの写真は、2023年10月14日に撮影したものです。
【写真】東園駅前です。もうモノレールのことは忘れ去られたように、お客さんが素通りしていきます。
【写真】駅の入り口のところでは、キッチンカーが営業していました。
【写真】駅の構内を覗くと、車両が留置されていました。廃止までにサヨナラ運行のようなイベントはあるかな?
【写真】歩いて西園駅まできました。駅前はパンダのぬいぐるみと記念写真が撮れるスポットになっていました。
【写真】駅の入り口です。「休止中」「進入禁止」のバリケード。
【写真】西園駅から伸びるレールです。これももうすぐ撤去されるでしょう。
【写真】公道をまたぐレールです。
上野動物園モノレールは、都電(路面電車)に代わる都内の公共交通機関とするべく、実験線として敷設されたという側面もありますが、結局、実用化(普及)はされないままその役割を終えました。
東京都は、モノレールの廃線跡に、よりコンパクトな新しい交通システムを2026年をめどに開業させる方針を決定しています。
その新しい乗り物がどんなものなのか、今から楽しみです。が、上野動物園モノレールの手本となったドイツのヴッパタール空中鉄道は開業から120年を過ぎていまだ現役。
日本にも歴史のあるユニークな鉄道がたくさんあります(ありました)が、やはり利便性、速達性が優先され、どんどん廃止される運命にあります。
来年も広島県のスカイレール、再来年には富山県の立山トンネルトロリーバスが廃止される予定です。
日本の鉄道はあくまで移動手段であって、文化的資産である、という側面はあまり重視されていないのかな、という感じがしています。