現地に行っていろいろなものを見てくるフィールドワーク系ブログ

ライト兄弟が初飛行に成功して120年です!

探訪日:2023年(令和5年)12月11日(月曜日)

探訪番号:56

投稿日:2023年12月17日

ブログ分類:発祥の地めぐりシリーズ #3

動力による有人飛行機で、世界で最初に飛行に成功したのは、ご存知の通り、兄ウィルバー、弟オーヴィルのライト兄弟です。

1903年12月17日、アメリカ・ノースカロライナ州キティホーク近郊(キル・デビル・ヒルズ)において、ライトフライヤー号という飛行機で、世界初の有人動力飛行に成功しました。

つまり、今日で初飛行からちょうど120年ということになります。

千葉・稲毛海岸にライト兄弟のゆかりのスポット!?

当ブログでは、記念の日にゆかりの地を探訪して記事にすることがよくあります。

でも、さすがにノースカロライナ州まで行くのは金銭、時間、気力の三無主義で、実現できません。

どうしようかな、と思案していたところ、なんと、私が住む千葉市の稲毛海岸に、ゆかりと言えるようなスポットがありました!まさに「灯台下暗し」といった感じです。

稲毛海岸には日本初の民間飛行場がありました

どういうことかというと、なんと、稲毛海岸にはかつて日本初の民間の飛行場があったのです。

日本初の飛行場は、明治44年(1911年)4月に、埼玉県の所沢で陸軍によって造られました。

富国強兵策を進めていた我が国は、「臨時軍用気球研究会」という国家的プロジェクトを立ち上げ、航空機の研究を行いました。

その研究会には、奈良原三次という人が技師として参加していました。男爵家の生まれだったので、研究のための豊富な資金があったため、その後研究会を離れて、独学で航空機の研究を進めます。

そして、ついに「奈良原式」という飛行機を完成させ、明治44年5月に、完成したばかりの所沢の飛行場で初飛行に成功。これが、飛行に成功した国産飛行機の第1号となったのです。

しかし、軍の組織が大きくなると、民間人である奈良原三次は、所沢の飛行場から締め出されてしまいました。いくら男爵家の生まれとはいえ、自前で飛行場を作る資金などありません。

そこで、奈良原三次が目をつけたのが、たびたびリゾートに訪れていた稲毛海岸だった、というわけだったのです。

当時の稲毛海岸は、遠浅の砂浜が広がり、干潮になると荷馬車が通れるくらい砂浜が締まって硬くなるのを見ていたのです。砂浜なら、飛行場に必要な広大な平地を整備する必要もありません。

そして、地元の漁民と交渉して、ついに明治45年5月、稲毛海岸に日本で初の民間飛行場を完成させたのです。

飛行場があった場所には「民間航空発祥之地記念碑」というモニュメントがありますので、行って写真を撮ってきました。

【写真】飛行場があった干潟は、戦後埋め立て造成工事が実施され、現在は稲岸公園という公園になっています。JR京葉線が近くを走り、巨大な団地群が広がり、いろんなお店もたくさんあって、完全なベッドタウンになっています。

撮影地:千葉市美浜区稲毛海岸

【写真】モニュメントには、「民間航空発祥之地」と書いてありました。

撮影地:千葉市美浜区稲毛海岸

それで、稲毛海岸とライト兄弟の関係は?

ここまで読んでいただいた方は、「稲毛海岸に日本初の民間の飛行場があったのはわかったけど、ライト兄弟とは何も関係ないじゃん!」と思われたと思います。

【写真】モニュメントの脇には、松の木が生えていました。

撮影地:千葉市美浜区稲毛海岸

【写真】松の木の横には、こんな看板が!

撮影地:千葉市美浜区稲毛海岸

キティホークの丘の松の種から育てた松の木

看板によると、松の木はなんと、ノースカロライナ州知事から贈られた、ライト兄弟が初飛行を行ったキティホークの丘に生えていた松の種から育てられた、と書いてあるじゃないですか!

その松の種を、伊藤音次郎という人が成田市の自宅で育てて、それを植樹したものだそうです。

う〜ん、ゆかりの地というには、だいぶ薄い縁じゃないか!というツッコミは無しでお願いします。

なお、伊藤音次郎は奈良原三次に師事して飛行機の操縦技術を習得し、稲毛海岸に近い津田沼町(現在の習志野市)の鷺沼海岸に伊藤飛行機製作所と飛行場を開設し、我が国の航空機産業の発展に寄与した人物で、モニュメントの設立にも関わったそうです。

【写真】モニュメントと松の木を一緒に撮りました。

撮影地:千葉市美浜区稲毛海岸

おまけ1

モニュメントのある稲岸公園には、蒸気機関車が静態保存されています。

撮影地:千葉市美浜区稲毛海岸

【写真】蒸気機関車に関する説明の看板です。

撮影地:千葉市美浜区稲毛海岸

【写真】モニュメントと松の木と一緒にパチリ!

撮影地:千葉市美浜区稲毛海岸

【写真】運転席に入ることもできました。

撮影地:千葉市美浜区稲毛海岸

おまけ2

民間航空発祥の地ということで、稲毛海岸にはかつて「稲毛民間航空記念館」という施設もありましたが、2018年3月に閉館してしまいました。以前、その記念館に訪問して写真を撮っていました。以下の写真は、2015年6月8日に撮影したものです。

【写真】当時の、稲毛海岸の干潟に作られた飛行場の模型がありました。横のボタンを押すと、飛行機が滑走路を一周する仕掛けになっていました。

撮影地:千葉市美浜区高浜(稲毛民間航空記念館内)

【写真】奈良原三次が作成した奈良原式4号機「鳳(おおとり)」号の復元機もありました。翼が上下にある、複葉式と呼ばれる形で、上翼と下翼が前後にずれているのが特徴だそうです。

撮影地:千葉市美浜区高浜(稲毛民間航空記念館内)
撮影地:千葉市美浜区高浜(稲毛民間航空記念館内)